こんにちは、shelkoです。
みなさんは日本に世界遺産がいくつあるか、どんな理由で世界遺産に選ばれているかご存知ですか?
今回は、意外と学ぶ機会の少ない日本の世界遺産についてなるべく簡潔に&分かりやすくまとめてみました。
1、日本にある世界遺産の数
2、日本の世界遺産の登録順と登録年(登録順に紹介していきます)
3、日本にある世界遺産それぞれの登録理由
世界遺産とは?
日本の世界遺産を紹介する前に、「世界遺産とは何か」というお話を。
ひとことで言えば、世界遺産とは「人類共通の宝物」として世界遺産条約(1972年採択)に基づき登録されているものです。
世界遺産として登録することで、貴重な資産を守り未来の世代へと残す、そして各国の人々がお互いに尊重しあう平和な世界をめざす、という目的があります。
2019年現在、世界には1121件もの世界遺産があり、そのうち日本国内にある数は23件です。
世界遺産登録には複数の条件と厳しい審査をクリアする必要があり、最短でも1年半ほどの期間を要します。
また、世界遺産は大きく以下の3つに分類されていることも覚えておくといいでしょう。
- 文化遺産 … 歴史的な記念物や建造物、文化的な景観など
- 自然遺産 … 地球や動植物の進化を示す地形や景観、生態系など
- 複合遺産 … 文化・自然両面の価値を兼ねているもの
ちなみに、日本国内にある世界遺産のうち文化遺産は19件、自然遺産は4件です。
日本にある世界遺産(登録順)
それでは早速、日本にある23の世界遺産とその概要・登録理由を、登録順に沿ってご紹介します。
1990年台に登録された遺産
法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)
7~8世紀にかけて造られた世界最古の木造建築群として、奈良県法隆寺の境内にある47の建造物と法起寺の三重塔が、文化遺産として1993年に登録されました。
中でも、聖徳太子ゆかりの法隆寺金堂は現存する世界最古の木造建築として知られています。
姫路城(兵庫県)
法隆寺とともに文化遺産として登録(1993年)された姫路城は、別名「白鷺城」とも呼ばれる優美で美しい様相。
要塞や住居部分など見ごたえもあり、間違いなく私のおすすめ城ランキング第一位です!
姫路城は豊臣秀吉、池田輝政による改修によって現在の姿となり、昭和31年から8年もの歳月をかけて行われた「昭和の大修理」によって当時の姿をとどめています。
屋久島(鹿児島県)
鹿児島市の南下にある屋久島。屋久島というと、樹齢数千年にものぼるという縄文杉をイメージする方も多いのでは?
まるで映画『もののけ姫』のような鬱蒼とした森は、日本初の自然遺産として1993年に登録されました。
実は日本列島の北から南までの気候をあわせもつ特異な島で、亜熱帯から亜寒帯までの1900種以上の植物が分布しています。
なお、縄文杉を含む屋久島固有の杉は「屋久杉」と呼ばれています。
白神山地(青森県・秋田県)
屋久島と同じく、1993年に自然遺産として登録された白神山地。青森県と秋田県にまたがり、ブナをはじめとする落葉樹の原生林が広がっています。
世界遺産として登録されているのは、170キロ平方メートルの中央部です。
かつては海だった地域が隆起を続け、約8000年前に現在のような姿になったそう。
落ち葉によって「緑のダム」と呼ばれる土壌が生成され、日本固有のアオモリマンテマやニホンカモシカ、クマゲラなど貴重な生態系が棲んでいます。
古都京都の文化財(京都府・滋賀県)
「なくよ(794)ウグイス平安京」で知られる794年の平安京遷都。
1869年東京遷都(明治維新)までの実に1000年以上もの間、京都は“日本の中心”としての役目を果たしてきました。
都がゆえに戦乱も多く、そのたびに街が焼け野原になったものの、多くの寺社仏閣は創建当初の姿で再建され、保存されてきました。
そういった背景が認められ、京都市、宇治市、そして滋賀県大津市にある17の寺社・城郭が1994年に文化遺産として登録されています。
白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県・富山県)
日本有数の豪雪地帯にある「合掌造り」の家屋は、急こう配の茅葺き屋根によって雪や風に耐えうるよう施され、釘も使用していない伝統的な技法で建てられています。
20~30人という大家族で暮らし家屋で仕事をしていたため、3~5階建てと大きいのも特徴。
岐阜県にある白川郷が有名ですが、富山県の五箇山にも同じく合掌造りの集落があり、あわせて1995年に文化遺産として登録されました。
日本だけでなく海外からの観光客も多く、季節限定で行なわれる夜のライトアップも人気! なお、白川郷に比べて五箇山はより静かで落ち着いた印象です。
原爆ドーム(広島県)
1996年、文化遺産として登録された広島平和記念碑(原爆ドーム)。
1945年8月6日第二次世界大戦の最中、人類の歴史上はじめて核兵器が使用され、多くの命が犠牲になりました。
核兵器はこの原爆ドーム(広島県産業奨励館)付近上空で爆発し、骨組みと壁のみになった廃墟が“負の遺産”として戦争の悲惨さを今に伝える存在となっています。
厳島神社(広島県)
瀬戸内海に浮かぶ小さな宮島(厳島)。日本三景のひとつとしても知られていますよね。
島全体がパワースポットとされていますが、中でも朱色の厳島神社は凛とした美しさで圧巻! 平安時代末期に平清盛によって社殿が整えられました。
背後にある弥山(みせん)も世界遺産の登録対象となっています。
厳島神社では結婚式を挙げることもできますよ! 一度見かけましたが、世界遺産での挙式は荘厳な雰囲気でとっても素敵でした。
古都奈良の文化財(奈良県)
1998年に奈良県の8つの寺社を含む文化財が文化遺産として登録されました。
建立当時の優れた木造建築技術と、日本人の宗教観を示している点が登録理由として挙げられていて、東大寺や春日大社など観光客に人気のスポットも含められています。
飢饉や疫病の広がりで不安定な情勢が続いていた8世紀(奈良時代)に、仏教の力に頼って東大寺の大仏が造られたという話は歴史的にも有名な話ですよね。
大仏が安置されている金堂は世界レベルでも最大級の木造建築です。
日光の社寺(栃木県)
栃木県日光市にある日光山(にっこうさん)は、古くから神仏習合(神道と仏教が調和した考え)の聖地でした。
日光社寺の中心的存在である日光東照宮、そして日光二荒山神社と日光山輪王寺の二社一寺が1999年に文化遺産として登録されました。
なお、東照宮は誰もが知る江戸幕府初代将軍、徳川家康の遺言で造られたもの。
江戸幕府の権威の象徴として造替(改修)を繰り返し、現在のような豪華絢爛な姿になっています。
2000年台に登録された遺産
琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)
12~17世紀、アジア各国の交流をつなぐ「中継貿易」で栄えた琉球王国。
その王国の歴史を今に伝える場所として、首里城正殿を含む9つの史跡が2000年に文化遺産として登録されました。
なお、グスクとは城砦のこと。内部に宗教的聖地とされる拝所(うがんちゅ)が設けられており、独自の信仰文化をもった住民たちの心の拠りどころでもありました。
2019年10月に発生した火災で、残念ながら本殿が焼失してしまいました。現在、復興作業が進められています。
紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山県ほか)
和歌山県、奈良県、三重県にまたがる紀伊山地。
ここにある吉野・大峰、熊野三山、高野山の3つの霊場と参詣道が文化遺産として2004年に登録されています。
豊かな自然の中で長期間保存されていることが評価され、日本では初めて“文化的景観”という項目を満たしての登録となりました。
知床(北海道)
アイヌ語で「地の先」を意味する知床。美しい自然が残る知床半島には、冬の時期になると流氷が接岸します。
そこで生まれた植物プランクトンを魚が食べ、そしてその魚をアザラシやヒグマが食べる…。
こういった海と陸の生態系が理想的な食物連鎖を繰り広げている点が評価され、2005年に自然遺産として登録されました。
石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)
17世紀ごろ、日本は世界の3分の1に相当する多量の銀の産出国であり、その銀のほとんどは島根県の石見で「灰吹法」という手法で採掘・製錬されていたものでした。
“産業的な遺産”として、銀生産に使われていた鉱山や間歩(坑道)や街道、港・港町が2007年に文化遺産として登録されました。
1923年に休山するまでの約400年、鉱山にかかわる人々が暮らしていた街並みは今もその風情を残しています。
2010年台に登録された遺産
平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-(岩手県)
2011年に文化遺産として登録された、岩手県平泉地域の史跡群。中尊寺含む5つの史跡が登録対象となっています。
平安時代末期に貴族を中心に流行した「浄土信仰」に基づき、奥州藤原氏によって寺院が再興されました。
なかでも中尊寺金色堂は唯一創建当初のままに残っている建造物で、堂内にはきらびやかな金や螺鈿がふんだんに使用され、極楽浄土が表現されているとして高く評価されています。
小笠原諸島(東京都)
「東洋のガラパゴス」と呼ばれる小笠原諸島は、2011年に自然遺産として登録されました。大陸と一度も陸続きになったことがないため、固有の生態系が残っています。
特に陸産貝類(カタツムリの仲間)などは現在も新種が発見されるなど、固有率は90%超。
その一方で、残念ながら外来種の持ち込みなどで一部の固有種が絶滅の危機にさらされるなど、問題視されている課題もあります。
富士山-信仰の対象と芸術の源泉-(静岡県・山梨県)
日本の代表的なランドマークである富士山。成層火山としての美しさはもちろん、古来より山岳信仰のシンボルとして人々から崇められてきました。
多くの文学作品にも影響を与えた点が評価され、2013年に文化遺産として登録されました。
なお、信仰対象として山を遠くから拝むのは遥拝(ようはい)、山自体に登るのは登拝(とうはい)と呼びます。
ゴミの問題などがあり、自然遺産ではなく文化遺産としての登録となりました。
富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)
2014年に文化遺産として登録。日本の絹産業が近代化に貢献したとして富岡製糸場と関連史跡が登録対象となっています。
VRを使った見学ツアーもあり。
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(山口県ほか)
こちらも日本の近代化に貢献したとして登録対象になった、九州地方(鹿児島県、佐賀県、長崎県、福岡県、熊本県)と山口県、静岡県、岩手県の全8県に点在する23の史跡。
2015年に文化遺産として登録されました。
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-(東京都ほか)
近代建築の巨匠、ル・コルビュジエが手がけた世界7か国に残る建築作品群が大陸をまたいで登録されています。
日本に唯一ある建築物である、東京上野の国立西洋美術館が登録されています。
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)
キリスト教禁教政策のもとで、ひそかに信仰を続けていた人々の歴史を伝える遺跡群。
2018年に文化遺産として登録されたのは、2県6市2町にまたがる12の資産で構成されています。中でも大浦天主堂は国宝にも認定されています。
百舌鳥・古市古墳群(大阪府)
2019年に文化遺産として登録された古墳群。49基の古墳が登録対象となっています。
今後登録されるかも? 注目スポット
日本の世界遺産 総復習&さらに勉強したい方に
上記の23カ所が国内にあるすべての世界遺産です。近年では複数のエリアにまたがる遺産も増えてきていますね。
歴史的背景を学んでから各地を訪れると、より深く観光も楽しめます。興味がある方は世界遺産検定にチャレンジしてみるのもいいかも?